小学6年生の保護者の皆様、日々のお忙しい中、お子様の受験準備、本当にお疲れ様です。
先日参加させていただいた昭和学院秀英中学校・高等学校の学校説明会は、単なる学校紹介に留まらず、これからの社会を見据えた教育改革、すなわち「進学校」としての明確なビジョンと、生徒の主体性を最大限に引き出す文化を感じさせるものでした。
特に今回の説明会は、校長先生の熱い教育哲学、そして具体的な入試対策に至るまで、戦略的に活用すべき情報が満載でした。多忙な皆様のために、この濃密な情報を要点に絞り、戦略的な視点から徹底解説します。
なぜ今、昭和秀英に注目すべきか?
田中校長の教育哲学:「学びたい」を動かす力
昭和学院秀英は、建学以来、「英和教育」「規律教育」「教育教育」の三つを柱とし、生徒の自己実現を支える教育を実践してきました 。
そして昨年、同校は「進学校」という新たなビジョンを掲げました。これは、生徒が活躍する新世代に向けて、社会をリードする人材を育てるという明確な目標を打ち出したものです 。この目標達成のために、生徒に育成すべき資質として「自律自省力」と「自世代に相応しい学術、教養力」を挙げています 。
校長の田中先生が特に強調されていたのは、生徒の内発的動機づけの重要性です。先生は「人間は学びたいと思った時しか学べない。学べる時しか学べない。そして学びたいと思った時しか学べない」と語り、生徒自らが「学びたい」という気持ちを動かすことこそが、学校側の役割であると考えていると述べました 。
校長メッセージの核心:失敗を恐れず挑戦する文化
この内発的な動機づけを育む文化を象徴するのが、校長先生が常日頃から生徒に伝え続けているメッセージです。それは「失敗してもいい。失敗することに大変なことに挑戦しなさい。とにかく失敗とか挫折するというのは、必ず将来と大きな糧になる」というものです 。
また、探究的な学びの姿勢について語る際も、「わからないからこそ、面白いんだ」という言葉を強調されていました 。受験競争を勝ち抜いてきた生徒は、結果を強く求める傾向がありますが、学校側があえて「最終的に答えが出なくても、わからないことを面白がって、その答えを自ら探していこうとする過程こそ評価したい」と明言している点 は、非常に重要です。
これは、学校が、生徒が萎縮せずに主体的に挑戦し、将来社会の不確実な課題に立ち向かえるリーダーシップの素地を意図的に育成しようとしている証拠であり、昭和秀英が目指す「進学校」の教育戦略の中核をなしていると言えるでしょう。
教育実践の三本柱:未来のリーダーを育む独自のプログラム
昭和秀英では、進学校のビジョンを実現するため、「グローバル教育」「理系教育」「秀英アカデミア(探究)」の三つの教育実践の柱を有機的に連携させて進めています 。
A. グローバル教育:多様性理解と実践力の育成
グローバル教育の目標は、多様性を理解し、多様性が生み出す「新しいものを生み出すダイナミックなエネルギー」を理解させることに置かれています 。英語という共通言語を話すことで、最先端の世界の動きを早めることが目指されています。
中学生の系統的プログラム
中学生の段階では、習熟度に応じてステップアップする実践的な研修が用意されています 。
- 中学1年生(中1):TGG(東京グローバルゲートウェイ)
- 東京にある英語学習施設を訪れます。飛行機やレストランなど様々なシチュエーションのスタジオで、外国人のスタッフとともに、実際に英語を使う経験を積みます 。
- 中学2年生(中2):ブリティッシュヒルズ
- 福島県にあるブリティッシュヒルズに2泊3日で参加します。「パスポートのいらない英国」というコンセプトで、イギリスを再現したような施設で、ハリーポッターのような世界観とも言われています 。生徒の体験談によると、英語での勉強や自然体験に溢れ、英語劇や雪合戦なども楽しむそうです 。
- 中学3年生(中3):海外ホームステイ
- アメリカやカナダへのホームステイが予定されています。現在、より実質的な研修となるよう、生徒の選択肢の幅を広げる調整が行われている最中です 。
高校段階の連携強化:関東外国語大学との協定
高校生になると、隣接する関東外国語大学と協定を結び、独自のハイレベルなプログラムが提供されます 。
- カンタベリー・クリティカルシンキング&ライティング講座: ネイティブ講師による専門的なコースで、年間15回(1回90分)実施されます。レベルが高く、他校の中学3年生や英語教師が参加することもあるとのことです 。
- 海外大学進学準備講座: 海外大学に進学を志望する生徒が増加していることを受け、そのサポートを実施しています。現在、中学生も高校生とともに参加可能です 。
さらに、単なる語学研修を超えた、目的を明確にした海外短期研修も用意されています。
目的別海外短期研修(高校段階)
研修地 | テーマと目的 | 活動内容 |
マレーシア (サンウェイゴーガ大学) | 最先端の科学、多様性理解 | 科学をテーマとし、英語圏内外から集まる留学生との交流機会を提供 。 |
カリフォルニア州立大学イーストベイ校 | アントレプレナーシップ(起業家精神)教育 | シリコンバレーが近く、Google社やスタンフォード大学訪問、投資家を招いた講座を実施 。 |
また、ニューヨーク州立大学など5校との指定校推薦提携を進めており、奨学金給付を受けながらニューヨークに留学できる道も用意されています 。これらのプログラムは、昭和秀英が単なる進学実績だけでなく、生徒の将来のキャリアをグローバルな視点から設計していることを示しています。
B. 理系教育:未来社会に必要な数学的素養の徹底
本校は理系教育にも注力しており、ほぼ6割の生徒が理系を志望しています(全体の進学者では63%〜65%が理系志望) 。医学部進学希望者には、特別なサポート体制を敷いています 。
文理を超えた素養育成
現代社会においては、文系であっても理系の素養、特に数学的能力が必須であるという認識に基づき 、教育戦略が立てられています。
注目すべきは、高校3年生の文系クラスにおいても、全員が数学を必修とする単位を取得している点です 。レベル調整はあるものの、文系・理系の枠を超えて論理的思考力を担保しようとする学校側の強い意思が感じられます。これは、生徒が将来、「あの時、数学を学んでいて良かった」と思えるような、時代に即した教育を提供するという学校側の責任の表れです 。
中学での実践重視の実験
特に中学1・2年生の間では、数多くの実験授業が行われています 。中学受験で習得した理科の基礎知識を元に、実践を重視した実験を通して、生徒が楽しみながら学びの面白さを見つける機会を提供しています(例:細胞分解の実験など) 。
高校生では、理数探究授業が始まり、高校1年生の理系生徒が、物理、化学、数学など様々な分野からテーマを選び、実験・考察・発表を行うことで、大学の理系の学びを深めることを目標としています 。
C. 秀英アカデミア:探究のスタートは「面白い」
秀英アカデミアは、生徒が夢中になれる学びを体験し、探究的な学びの姿勢を育成することを目指しています 。校長先生が明確に語ったように、一般的な調べ学習が「わからない」からスタートするのに対し、秀英の探究のスタートは「面白い」に置かれています 。
秀英アカデミアは以下の三つの構成要素で成り立っています 。
- 探究講座(出前講座)
- 理系、人文、医学など幅広い分野の外部講師を招き、高い知性に直接触れる機会を提供します。昨年度は全部で18回開催され、生徒は興味深く受講していたとのことです 。
- 大会・コンテストへの登壇
- 積極的に外部のコンテスト参加を促しています。例として、高校2年生が、大学生や企業の研究者などが参加する「自動化AIチャレンジ」で、惜しくも決勝進出は逃したものの、ホームページに生徒の姿が掲載されるほどの健闘を見せました 。これは、生徒が真剣勝負の場で実践力を磨く機会を重視していることを示しています。
- 企業課題探究プロジェクト
- 生徒がグループで課題を設定し、探究活動を学校が支援するプロジェクトです。最大の特長は、最大10万円の補助費用が出る点です 。ノルマ以外は何に使っても良いとされ、自由度の高い探究を可能にしています。
- このプロジェクトへの参加は、文化祭実行委員会への企画書提出から始まり、校長先生へのプレゼンテーションを経て認定されます 。今年度は5チームが認定され、補助額には4万円から10万円まで差がつけられました 。これは、単なる体験学習ではなく、 本気度の高い競争的・実践的な学びであり、生徒には企画力、実行力、そしてプレゼンテーション能力が厳しく要求されます。
- 校長先生が、結果ではなく「わからないことに挑戦する」「その過程こそ評価したい」と繰り返し述べていることは 、プロジェクトを通じて、生徒が主体的に学びに向かい、挫折から立ち直る力をつけることを、学校が最も重要視している証拠です。
生徒主体の充実した学校生活と環境サポート
昭和秀英の教育理念は、生徒の自発的な学習意欲を支える環境整備によって具体化されています。
A. 勉学を支える環境とサポート体制
校長先生の教育観「生徒自らが学びたい気持ちを動かす」を具現化するための環境が整っています 。
- 自立学習室: 生徒の勉学熱意を向上させるために設置されており、朝から利用可能です 。
- チューター制度: 卒業生がチューターとして来校し、放課後に質問に対応するシステムです。授業でつまずいた点や、先生には聞きにくい悩みも解決できると、生徒のプレゼンテーションでも紹介されました 。朝から放課後まで、生徒の自発的な学習を時間的・精神的に強力にサポートする体制が整備されています。
- 図書館: 歴史的名作から読みやすいものまで、約5万冊もの書籍が揃っています 。本年度からはカード型の生徒証で貸し出しができるようになりました。定期末には、最も多く本を借りた生徒に「優良図書優秀賞」が贈られ、図書カードの景品が用意されるなど、読書意欲を高める工夫もされています 。図書館は登校日の最終日まで利用可能です 。
B. 熱中できる行事と部活動
部活動は自主性に任されており、必ず入部する必要はありませんが、中学生の多くが所属しています 。活動頻度は週1回から5回と多様です 。
- 著名な部活動: 全国大会出場経験のあるサッカー部や、昨年度高校生クイズ大会で準優勝を果たしたクイズ研究部などがあります 。
- 生徒主体の行事: どの行事も生徒主体で行われ、仲間との数えきれないほどの収穫が得られると生徒は語っていました 。
- 体育祭: 中学校全体が組に分かれて応援歌合戦をし、本気で優勝を狙います。競技会は生徒がプログラムを企画し、工夫を凝らします 。
- 文化祭: 夏休み前から準備が始まり、お化け屋敷やジェットコースターなど、クラスごとに趣向を凝らした展示や企画が行われます 。
- 合唱コンクール: 中学3年生にとっては中学最後の行事であり、完成度も高く見応えがあります 。
- 宿泊行事:
- ブリティッシュヒルズ(中2): 2泊3日で英語での勉強や自然体験ができます 。
- 京都・奈良への修学旅行(中学最後): 自由行動の予定を自分たちで決めることができ、日本の伝統に触れる貴重な機会となります 。
- 高校生の平和学習: 高校1年生で広島、高校2年生で沖縄を訪れます 。特に広島の平和学習は、京都から始まっているという説明があり 、単発の訪問ではなく、中高一貫の学びの中で日本の伝統や歴史、そして現代社会の課題を体系的に結びつけて学んでいることが伺えます。
【必読】2026年度入試対策と科目別攻略
2026年度入試(来年1月実施)に向けた具体的な出題傾向と学習の重点について説明がありました。多忙な保護者にとって、戦略を立てる上で最も重要な情報です 。
A. 入試概況と重要日程
- 募集要項・過去問の確認: 入試日程や詳細を記載した提出募集要綱は、すでにホームページに掲載されています 。過去問は、スクールガイドの問題ページにも掲載されています 。
- 5科特別入試の形式変更: 5科特別入試は、2025年度(今年の1月)に大きく出題形式が変更されました。2026年度入試も同じ形式で行われる予定です 。過去問は1年分しかないため、第1回、第2回入試の過去問が参考になるとのことです 。
- 今後の入試説明会: 11月6日に開催される入試説明会では、今回の説明会をベースに、教科担当者から各科目の入試対策について、より詳しく説明される予定です 。説明会の後に動画配信も予定されていますので、併せて利用することが推奨されます 。
B. 4科目別・学習の重点ポイント解説:戦略的な対策の核心
入試広報部からの説明に基づき、各科目の攻略ポイントをまとめました。学校側からの「志望校からのメッセージ」である過去問を解くことで、出題傾向を把握し、読解力、思考力、応用力を磨くことが推奨されています 。
昭和秀英入試の学習重点:科目別攻略ポイント
科目 | 出題傾向の核心 | 保護者が確認すべき学習重点 |
算数 | 基礎力・計算力重視。ひねった難問は合否に影響しない。公式に頼らない図形問題多。 | 計算ミスを徹底的に排除。日頃から丁寧に計算し、一度で答えを出す練習。図形問題の考察力強化 。 |
国語 | 基礎的な語彙力・読解力重視。論理的文章と記述が中心。5科特別入試では小説は出題されない。 | 答えの根拠を正確に読み取り、本文全体の展開を把握した記述練習。根拠は遠い場所にあることも想定 。 |
理科 | 知識+思考力。実験操作・データ読み解き・考察力が中心。時事問題も出題される。 | 暗記ではなく「理解の深さ」の確認。実験をテーマにした問題、データの変化の原因考察 。 |
社会 | 基礎知識+思考力。資料読み取り、複数の時代・テーマを跨いだ出題。 | 重要語句は漢字で書けるように練習(漢字表記必須)。知識の原因・背景・影響・繋がりまで深く理解する 。 |
C. 各科目の詳細な攻略ポイント
算数:計算精度と図形が鍵
算数については、基礎力と計算力が身についていることが最も重要とされています 。学校側は「ひねったような難問は出題しない」と明言しており、難しい問題の正答率は低く、合否にはほとんど影響しません 。したがって、難問対策に時間を割くよりも、基本・標準問題を確実に正答するトレーニングが効率的です。
特に注意すべき点として、毎年「計算ミスによって正答にたどり着くことができていない」受験生が多く見られることが指摘されています 。日頃から丁寧に計算し、一度で答えが出せるように心がけることが、合格への最も重要な道筋です。また、面積や体積など、公式を覚えるだけでは解けない図形問題が多く出題され、考える力を測る設問となっていますので、重点的な対策が必要です 。
国語:論理的な読解と記述力
国語は、基礎的な語彙力と読解力が重視されます 。記述問題では、何が問われているかを正確に読み取り、本文全体の展開を把握して答える能力が求められます。答えの根拠は必ず文章中にありますが、それが大線分から離れたところにある場合もあるため、文章全体を把握する読解練習が重要です 。
5科特別入試では小説や短文、略訳が出題されない形式に変更されており、論理的な文章の読解と記述問題が中心となります 。これは、論理的思考力と、アカデミアで必要とされる企画・提案の素地となる記述能力を重視する、学校の明確な選抜意図を示しています。
理科:実験・考察の習熟と理解の深さ
理科では、基礎的な知識だけでなく、思考力を問う問題が出題されます 。単なる暗記ではなく、
理解の深さを確認できるような学習が推奨されています 。
分野別に見ると、「物質とエネルギー」の分野(化学・物理)では、実験をテーマにした問題が多く出題され、計算問題や実験操作に関する出題もあります 。「生面と地球」の分野(生物・地学)では、データの変化の原因を問う問題が出題されます 。実験や観察に関する問題では、操作やデータの読み解き、考察ができるようにしておくことが必須です。また、
時事問題が出題されることもあります 。
社会:繋がりと背景の理解、漢字の徹底
社会では、基礎知識をバランスよく学習できていることが重要です 。理科と同様に思考力を問う問題が多く、資料を読み取り、既習の知識と結びつけたり、知識同士を関連づけたりする能力が求められます 。
- 地理では、資料の読み取り問題が多く、日本の地誌に加え、日本と関わりの深い世界の国や地域について出題されることがあります 。
- 歴史では、時代ごとだけでなく、戦争などテーマ別にいくつかの時代にまたがった出題をすることもあります 。
- 公民では、憲法や政治に加え、時事的な出来事を題材とした問題が出題されることもあります 。
最も注意すべきは、漢字で書くべき用語は、漢字で書かないと正解にならないという点です 。日頃から重要語句は漢字で書けるように練習することが求められます。全教科において、知識の暗記に終始するのではなく、思考の
原因や背景、影響や繋がりなどまで深く理解する学習姿勢が、昭和秀英の入試で成功するための鍵となります 。
まとめ:昭和秀英で「未来を創る」挑戦を
昭和学院秀英中学校・高等学校は、確固たる伝統と実績を基盤としつつ、「グローバル」「理系」「探究」という三本の柱を軸に、未来のリーダーを育てる「進学校」へと進化を遂げています。
校長先生が訴える「失敗を恐れず、面白いことにチャレンジする」という文化は、自立学習室での朝からの勉学サポートや、最大10万円の補助が出る企業課題探究プロジェクトといった具体的な仕組みによって支えられています。学校は、生徒が自ら課題を見つけ、挑戦し、そして未来を創造していくことを、心から支援していくという強いメッセージを発信していました 。
多忙な保護者の皆様におかれましては、入試対策において、難問対策よりも基礎の徹底、ミスの排除、そして知識の背景や繋がりを深く理解することに注力することで、効率的かつ戦略的に合格への道筋を立てることができます 。
具体的な科目別対策については、11月6日の入試説明会が、教科担当者から直接話を聞く絶好の機会となりますので、ぜひご活用ください 。
最後に、校長先生は、生徒のプレゼンテーションを通じて、在校生の姿に「自分の未来を創る、将来の姿を重ね合わせる」ことができたなら、ぜひ昭和秀英の学び舎をご検討いただきたいと結びました 。この学校が提供する挑戦と成長のステージは、お子様の未来を大きく拓く可能性を秘めていると感じました。
今日も、一歩前へ。
では、また。
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