中学受験、親のSNSとの賢い付き合い方:忙しい親のための情報活用術

日常の取り組み

こんにちは。

中学受験を考えている親御さん、毎日お疲れ様です。

お子さんの受験勉強、ご自身のサポート、そして日々の家事や仕事…本当に忙しい日々を送っていることでしょう。そのような中で、ふとSNSを開いては、他の親御さんの投稿に心がざわついたり、情報過多に疲れてしまったりすることはないでしょうか。

このブログでは、中学受験期における親のSNSとの賢い付き合い方について、深く掘り下げていきます。SNSは手軽な情報源である一方で、親の心がざわつき、不安やストレスが増大する原因となることもあります 。本記事を通じて、親御さんが心穏やかに、お子さんと共に受験期を乗り越えるためのSNS活用術を提案します。  

「親が9割」のプレッシャーと中学受験の「闇」

「中学受験は親が9割」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

この言葉が示す通り、親の関わり方が子の結果に多大な影響を与えることは事実です。しかし、この「9割」という数字は、親御さんに過度なプレッシャーを与え、時に悲劇を生む「闇」を抱えていることも忘れてはなりません。

親の過度な関わりが招く悲劇:教育虐待、中受離婚

中学受験の問題として、親の過度な期待や旧態依然とした価値観が根底にあり、教育虐待や家庭崩壊といった「負の側面」をはらむ可能性があると指摘しているユーチューブチャンネルなどもあります。

実際に、親が子にかけた費用や時間に対して、子が結果を出せないことを許容できなかったことが背景にあると推測される悲劇的な事例が報告されています。

さらに、中学受験をきっかけに両親が離婚する「中受離婚」も珍しくありません。これは、子供の教育方針を巡って両親が対立し、最悪の結末を迎えるケースであり、子供は深い傷を負うことになります。

これらの事例は、親の関わり方が一歩間違えれば、取り返しのつかない事態を招くことを示唆しています。

旧態依然とした「幸せへの価値観」の残存

中学受験が抱える「負の側面」は、親の「幸せへの考え方」が旧態依然としていることに根ざしていると指摘される場合もあります。

かつては「良い大学に入り、良い企業に入れば終身雇用で幸せ」という価値観が主流でしたが、社会が多様化する中でその価値観が残存し、中学受験を通じて「過去に戻ろうとする引力」が働いていると分析されています。

この旧態依然とした価値観は、親が子どもに過度な期待を抱き、特定の進路(難関校合格)のみを「成功」と見なす傾向を強めます。

社会の多様化により、かつての「成功モデル」が必ずしも唯一の幸せではないにもかかわらず、親がその認識を更新できないため、子どもへのプレッシャーが不必要に高まることになります。

親の価値観と現実社会のギャップが大きければ大きいほど、子どもが親の期待に応えられない場合の親の失望や怒りが増大し、結果として教育虐待や家庭内暴力、中受離婚といった「負の側面」が顕在化しやすくなるのです。親が「子どものため」と信じて行っている行動が、実は親自身の未解決な価値観や不安の投影であり、子どもを「手段」として扱ってしまう危険性を示唆しています。

中学受験の「闇」は、単に受験の厳しさだけでなく、親世代の価値観が現代社会の変化に追いついていないことに起因します。親自身が自身の価値観を見つめ直し、多様な幸福の形を受け入れることが、健全な受験環境を築く第一歩となるでしょう。

「暴走する親」にならないために:コーチングという光

中学受験の「闇」に直面しないため、そして親自身が「暴走する親」とならないためには、「コーチング」をうまく活用することが必要とされています。これは、親子の関係性を健全に保ち、受験を乗り越えるための強力なサポートとなります。

親へのコーチングの重要性:第三者の介入

親子間の血の繋がりや思春期特有の難しさから、親だけではハンドリングが難しい場合があります。そのような場合に、塾のコーチングという第三者の介入が、親子の双方にとって負担を軽減し、関係を円滑にする効果があると強調されています。

実際、一部の塾では親向けにコミュニケーションプログラムを案内しているという話も聞きます。

親が「暴走」する背景には、過度なプレッシャー、不安、そして子どもとのコミュニケーションの行き詰まりがあります。

コーチングは、まず親の不安やストレスを「ガス抜き」することで、感情的な暴走を抑制します。次に、「交渉の余地」を持たせることで、親が一方的に指示するのではなく、子どもと共に解決策を探る姿勢を促し、親子の対立を減らします。さらに、第三者(コーチ)が客観的な視点を提供することで、親が自分の行動や期待を客観視し、修正する機会を得ます。

このプロセスは、親が抱える「受験の闇」の根本原因である「旧態依然とした価値観」や「承認欲求」に間接的に働きかけます。親がストレスから解放され、子どもの意見を尊重できるようになることで、親自身が「過去に戻ろうとする引力」から解放され、より柔軟な思考を持つことができるようになります。結果として、教育虐待や中受離婚といった最悪の事態を未然に防ぐ「予防線」としての役割を果たすのです。

コーチングは単なる勉強サポートではなく、親の精神的健康を保ち、親子関係を修復・強化することで、中学受験の「負の側面」を根本から解決し、健全な家庭環境を築くための重要な投資であると言えるでしょう。

具体的なコーチング内容と効果

コーチングでは、以下のような具体的なサポートが行われます。

  • 週間スケジュールの策定: 子どもと話し合いながら、毎週の課題とスケジュールを設定し、無理のない範囲で着実に成長を促します。
  • 進捗確認と調整: 設定したスケジュールの進捗を確認し、できなかった場合は調整したり、励ましの言葉をかけたりします。
  • 親の悩み相談: 親の悩みを受け止め、ガス抜きを促します。特に受験が近づくと親の表情が硬くなるケースが多く、緊張を和らげるためのサポートを行います。

コーチングはストレスの原因を特定し、それに対する効果的な対処法を学ぶことで、ストレスレベルを大幅に軽減できます 。また、呼吸法、瞑想、マインドフルネスなどのテクニックを習得することで、心の安定を保ち、感情のコントロール能力を高めることができます 。会話を通じてストレスが軽減される効果もあるとされています 。大学受験ではコーチング塾が普及していますが、中学受験においても少しずつ増えている傾向にあり、中学受験塾に通う生徒の約2割がコーチング塾を併用していると推測されています。  

中学受験SNSの「光」と「闇」:賢く付き合うには?

現代の中学受験において、SNSはもはや無視できない存在です。特に保護者の間では「ママ垢」が台頭し、情報共有の場として活用される一方で、その「闇」の部分も深く存在しています。

SNSのメリット:有益な情報収集とモチベーション維持

SNSは、中学受験における有益な情報源となり得ます。試験の所感やティップス、各塾の情報など、実用的な情報を手軽に収集できる側面があります。また、勉強を記録する学生が多く、真面目で高い目標を掲げているため、繋がっている仲間の頑張っている姿がモチベーションに繋がることが多いようです 。SNS上で目標を宣言し、自分に発破をかけることも可能です 。  

中学受験は、勉強ノウハウや受験計画など、情報を知っているか知らないかで合格率が大きく変わると言われています 。SNSは手軽に情報にアクセスできる手段の一つであり、刻々と変化する入試傾向や人気校の動向を把握するのにも役立つ側面があります 。  

SNSの落とし穴:マウント合戦、承認欲求、個人情報リスク

一方で、SNSには多くの落とし穴が存在します。近年、SNS(特にX)上で「ママ垢」と呼ばれる、中学受験に関する情報共有や愚痴を投稿する保護者アカウントが急増しています。アカウント名に「2026S」(2026年中学受験、SAPIXに通塾)のように、受験年と塾の頭文字を組み合わせるのが特徴です。

テスト結果を晒したり、子供の通う学校をプロフィールに記載したりして、他者に対してマウントを取るために利用されるケースも少なくありません。そのようなアカウントの多くが親の承認欲求を満たす場となっています。中には「娘は鉄緑会」「娘は公文最終教材終了」など、子どもの学業の成果を誇示する内容をプロフィールに記載する保護者も存在し、その過熱ぶりは度を越えていると感じる場合もあります。

「承認欲求」とは他人から認められたいという誰もが持っている感情であり、SNSにはこれを満たしてくれる「魔力」があります 。しかし、「他人軸」に頼りすぎると疲弊してしまうことがあります 。喜ばしい合格報告も、SNSでの伝え方によっては、ママ友から「総スカン」を食らう事例も報告されており、周囲への配慮が足りないと批判されるケースも多々見受けられます 。  

親がSNS上で子どもの成果を誇示する行為(マウント)は、親自身の承認欲求を満たすことが主な動機です。この承認欲求が強ければ強いほど、より詳細な情報(具体的な成績、塾、学校名など)を投稿する誘惑に駆られます。親の承認欲求を満たすための行為が、結果的に子どものプライバシーを侵害し、個人情報が不特定多数に拡散されるリスクを高めます。これは、単なる「マウント合戦」という表面的な問題に留まらず、子どもの安全を脅かす潜在的な危険性を内包しているのです。

親が「良かれと思って」または「無意識に」行っている行為が、最も守るべき子どもの安全を損なう可能性があるという矛盾した状況を生み出しています。親は自身の承認欲求がSNS上での情報公開にどう影響するかを自覚し、子どものプライバシーと安全を最優先に考える必要があります。SNSでの「いいね」や共感は一時的な満足しかもたらしませんが、個人情報の漏洩は取り返しのつかない事態を招きかねません。

また、子どもの個人情報を詳細に記載することで、それが犯罪につながる可能性も危惧されています。軽率な発言や安易に撮った画像が瞬時に拡散してしまう可能性があり、たとえ匿名で投稿したとしても、断片的な情報から投稿者の氏名や学校名などの個人情報が特定されてしまうことは少なくありません 。  

無料で手に入る情報は、一種の広告として発信されていることが多く、嘘の情報でも本当らしく加工して発信することはいくらでも可能です 。

SNS上では、自分と似たような価値観や考え方のユーザーをフォローすることで、同じような情報ばかりが流通する閉じた空間、いわゆる「エコーチェンバー」や、ユーザーの好みを学習したアルゴリズムによって、そのユーザーが好む情報ばかりが集まってくる「フィルターバブル」といった現象が起こります。これにより、真偽不明な情報でも信じ込みやすくなったり、自分の思考への振り返りができなくなったりするリスクがあります 。  

さらに、ネットを見続けることで、不安な気持ちが掻き立てられることがあります 。特に、よそのお子さんが合格したという投稿などを見てしまうと、心がざわついてしまい、平静でいるのが困難になることがあります 。

SNSは勉強をサボる要因にもなり得ます。たったひとつつぶやきをしようとしてスマホを開いたら最後、思っていたよりスマホを触ってサボってしまった、という本末転倒な話をよく耳にします 。  

子どもたちのSNS利用実態と親の認識のギャップ

小学生が直接SNSを利用するケースは稀ですが、スマホの普及により、連絡手段として携帯電話を持つことが一般的になっています。塾の教材が動画解説されるなど、学習目的でスマホやタブレットを利用するケースも増えていますが、これらの利用は親の監視下で行われることが前提となっています。

現役中高生の8割以上が中学卒業までにSNSデビューしています。利用するSNSの種類としては、LINEが最多、YouTubeが2番手です 。Instagramも約7割、X(旧Twitter)も半数以上が利用しています 。Instagramは7割以上、Xは5割以上が「複垢」(複数アカウント)を持つ傾向にあります 。SNSをはじめる理由で多いのは友人や家族との交流・連絡手段ですが、使用していくうちに情報収集が最大の目的となる傾向が見られます 。  

小中学生のSNS利用時間は平均すると、小学生低学年が12分、高学年が29分、中学生は85分となっています 。特に中学生では利用頻度が高く、1日に5時間以上利用する人は、2022年の36.7%から2024年には44.8%まで上昇しています 。  

親が子どものSNS利用実態を正確に把握していない(認識ギャップ)と、子どもは親に隠れてSNSを利用するようになる傾向があります。子どもが情報収集を主な目的としているにもかかわらず、親がその利用を過度に制限したり、監視したりすると、子どもは不信感を抱き、親に相談しなくなる可能性が高まります。この認識ギャップとルールの不在(または一方的な監視)は、子どもがSNS上でトラブルに巻き込まれた際に、親に相談できない「閉じた空間」を生み出すことにつながります。これにより、問題が表面化しにくくなり、深刻化するリスクが高まります。また、親子の信頼関係が損なわれることで、受験期のデリケートな時期に肝心なコミュニケーションが阻害され、子どもの精神的安定にも悪影響を及ぼす可能性があります。親は子どものSNS利用状況を一方的に「管理」するのではなく、対話を通じて実態を理解し、共にルールを策定する姿勢が不可欠です。これにより、子どもが困ったときに安心して親に相談できる関係性を築き、SNSの潜在的リスクから子どもを守ることにつながるでしょう。

Twitterの使用において、児童・生徒と保護者との認識の差が顕著です。特に中学3年生では22.5ポイントの差があり、保護者と大きく認識の差があることが浮き彫りになっています 。TikTokについては差が少ないですが、ゲームに特化したコミュニティアプリであるDiscordやフリマアプリのメルカリについては、差が大きくなっています 。  

SNSを利用するときのルールを設けている家庭は45%、「ない」が55%となっており、半数以上の家庭ではルールを設けていないことが分かっています 。ルールがある場合、最も多いのは「時間制限」で、投稿内容についてルールを設けている家庭もあります 。  

SNSがきっかけでトラブルに巻き込まれたことがあるかという質問に対し、7割以上は「特にない」と回答していますが、少数ながらも「SNSで知り合った人に会い、犯罪被害に遭いそうになった」(3%)や「名前や住所を知られた」「家の近くや学校で待ち伏せされた」といった深刻な事態を経験した家庭もあります 。お子さんのスマートフォンにどのようなセキュリティ対策をしているか聞いたところ、「特に何もしていない」と回答したのは44%でした。実際に対策をしている家庭は少ない結果となっています 。  

以下の表は、親と子のSNS利用状況と認識のギャップをまとめたものです。

項目親の認識(一般的な傾向)子どもの実態(調査結果)認識のギャップと潜在的リスク
SNS利用開始時期小学生での利用は稀中学卒業までに8割以上がSNSデビュー  親が知らないうちに子どもが利用開始している可能性
主要SNS利用率LINE, YouTubeは把握Instagram約7割、X(旧Twitter)半数以上、複垢多数  親が把握していないSNSや隠しアカウントの存在
SNS利用目的友人との交流・連絡友人との交流に加え、情報収集が主な目的  親が情報収集目的の利用を理解せず、不必要な制限をかける可能性
平均利用時間短時間と認識小学生高学年29分、中学生85分、中学生の44.8%が1日5時間以上  親が認識している以上に長時間利用している可能性、学業への影響
親子の認識差が大きいSNS把握しにくいX(旧Twitter)、Discord、メルカリ  親が知らないSNSでのトラブルや危険に巻き込まれるリスク
家庭でのルール設定設定している家庭は少数半数以上の家庭でルールなし  子どもがSNSを自由に使い、トラブルに巻き込まれるリスク増大
セキュリティ対策不十分な家庭が多い44%が「特に何もしていない」  個人情報漏洩や犯罪被害のリスクが高まる

以下の表は、中学受験期におけるSNS利用のメリット・デメリットをまとめたものです。

メリット(光)デメリット(闇)
有益な情報収集:試験所感、ティップス、各塾情報、最新動向  マウント合戦・承認欲求:テスト結果や学校名の誇示、親の承認欲求の場  
モチベーション維持:仲間の頑張り、目標宣言  個人情報リスク:子どもの情報公開による犯罪、特定  
情報へのアクセス:勉強ノウハウ、受験計画  誤情報・偏り:広告目的、嘘の情報、エコーチェンバー、フィルターバブル  
精神的負担:不安、ざわつき、ストレス増大  
時間の浪費:勉強をサボる要因  

【実践編】中学受験SNSとの健全な付き合い方7つのヒント

さて、ここからは、中学受験期のSNSと上手に付き合い、親も子も心穏やかに過ごすための具体的なヒントを7つご紹介します。

1. 情報源の見極め方と偏りの回避

SNS情報は玉石混交であり、無料である分、広告目的や嘘の情報も紛れている可能性があります 。自分と似た価値観の情報ばかりに触れる「エコーチェンバー」や、アルゴリズムによって好みの情報だけが表示される「フィルターバブル」の存在を理解することが重要です 。これにより、真偽不明な情報でも信じ込みやすくなったり、自分の思考への振り返りができなくなったりするリスクがあります 。  

手軽に情報が得られるSNSの特性は、同時に情報の「質」が担保されにくいというリスクを内包しています。親が多忙な中で効率的に情報を得ようとすると、無意識のうちに偏った情報や感情的な情報に引き寄せられやすくなります。この状態が続くと、客観的な判断力が低下し、不安が増幅され、結果的に誤った選択や過度な行動につながる可能性があります。これは中学受験だけでなく、現代社会全体における情報リテラシーの問題と深く結びついています。親がSNSを通じて得た「不確かな情報」や「偏った情報」に基づいて子どもの教育方針を決定することは、子どもの将来に大きな影響を与えるだけでなく、親自身が精神的に追い詰められる原因にもなりかねません。情報の量ではなく、その「質」を見極める能力が、受験期を乗り越える上で不可欠なスキルとなるでしょう。

対策:

  • 複数の情報源から情報を得るように心がけましょう。
  • 積極的に自分とは異なる意見を持つ人の考えに触れる機会を持ちましょう 。  
  • 情報の真偽を常に疑い、エビデンス(根拠)を確認する習慣をつけることが大切です 。  
  • 入試直前期には、SNSに触れる機会を意識的に少なくすることも有効な手段です 。  
  • 情報は「知っている=有利」とは限りません。その情報を冷静に活かすことが大切であり、多角的な視点で情報を分析する癖をつけるのが良いでしょう 。中学受験期のSNS利用において、親は「情報消費者」から「情報選別者」へと意識を転換する必要があります。感情に流されず、冷静に情報を分析し、多様な視点を取り入れることで、情報の「闇」に陥ることなく、真に有益な情報を活用できるでしょう。  

2. ネガティブ情報との距離の取り方

他のお子さんの合格投稿や、ネガティブな情報に触れると心がざわつき、平静でいられなくなることがあります 。  

対策:

  • デジタルデトックスの実践: 特に中学入試期間中はSNSを「見ない、書かない」と決めることが有効です 。スマホからSNSアプリを一時的にアンインストールするのも一つの手です 。  
  • タイムラインの整理: 不安を煽るアカウントや、マウント投稿が多いアカウントはミュートやブロックを活用し、本当に必要な情報だけが目に入るように調整しましょう。
  • 親自身の心のケア: 受験期のストレスや不安をゼロにすることはできません。気持ちを紙に書き出す、深呼吸をする、趣味の時間を持つなど、意識的に息抜きをする時間を作ることで、心の安定を保つことができます 。  
  • 子どもの様子を観察し、共感する: 親の緊張感は子どもに伝わりやすいものです。子どもが不安そうな時は、「いつもどおり、目の前のことに集中しよう」「みんなも緊張しているから条件は同じ」などと伝え、共感する姿勢を見せましょう 。  

3. 「マウント合戦」に巻き込まれない心構え

SNSではテスト結果の公開や子どもの通う学校の誇示など、他者へのマウント行為が横行し、親の承認欲求を満たす場となっている現状があります。喜ばしい合格報告も、伝え方によっては「総スカン」を食らう事例も報告されています 。  

対策:

  • 「他人軸」ではなく「自分軸」を持つ: 他人から認められたいという承認欲求は誰にでもあるものですが、SNSでの「いいね」や他者からの評価に過度に依存すると疲弊してしまいます 。自分の家庭の教育方針や子どもの成長を「自分軸」で評価する意識を持つことが大切です。  
  • 「うちの子なんてぜんぜんよ」の呪文: もしマウントを仕掛けてくる相手がいたら、「うちの子なんてぜんぜんよ(とはぐらかしつつ、話題を相手に持っていき)。〇〇ちゃんはどうだったの?」と答えるなど、謙遜しつつ話題を相手に戻すことで、上手に相手の承認欲求を満たしてあげるテクニックも有効です 。  
  • 成功事例の裏側を想像する: SNSで流れる「成功事例」はごく一部であり、多くの中学受験生が経験する「ほろ苦さ」は語られないものです。表面的な情報に惑わされない冷静な視点を持つようにしましょう 。  
  • SNSでの報告は慎重に: 合格など喜ばしい報告も、相手の状況への配慮がなければ反感を買うことがあります 。リアルな関係性や相手の状況を考慮し、伝える相手やタイミングを慎重に選ぶことが重要です。  

4. 個人情報保護の徹底とフィルタリングの活用

子どもの個人情報を詳細に記載することは、犯罪につながる可能性があり、たとえ匿名で投稿したとしても、断片的な情報から投稿者の氏名や学校名などの個人情報が特定されてしまうリスクがあります 。  

対策:

  • 親自身の投稿に細心の注意を払う: 子どもの顔写真、学校名、塾名、具体的な成績、行動範囲がわかる情報(習い事の場所、通学路など)は絶対に公開しないように徹底しましょう。
  • SNSアカウント作成時は親子で: 子どもがSNSアカウントを作る際は、保護者と一緒に設定を行うようにしましょう 。  
  • フィルタリング機能の活用: 法律により、18歳未満が使うスマホには、違法・有害なウェブサイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」の設定が携帯事業者に義務付けられています。アプリのインストール承認、利用時間制限、位置情報オフ、投稿公開範囲の設定など、各SNSアプリのセキュリティ設定を親子で確認し、見直しましょう 。  
  • 子どもの利用状況の把握: 親が子どものSNS利用実態を把握していないケースが多いことが調査で明らかになっています 。定期的に子どもと話し合い、利用状況を確認する機会を設けましょう。子どもに隠れてスマホを見る行為は、親子の信頼関係を壊す原因となるため避けましょう 。  

5. 親子のためのデジタルデトックスのススメ

スマホやデジタル機器から一時的に離れる「デジタルデトックス」は、脳が常に情報でいっぱいになる状態を防ぎ、集中力維持や脳の疲労軽減に効果的です 。  

対策:

  • ルール設定: 「1日1時間スマホを見ない時間を作る」「夜9時以降はスマホ使用禁止」「土日はSNSを開かない」「通知をすべてオフにする」「SNSのチェックは1日2回まで」など、具体的なルールを親子で話し合って決めましょう 。  
  • スマホを視界に入れない: 物理的にスマホを視界に入らない場所に置く、親や塾に預ける、タイムロッキングコンテナを活用するなど、誘惑を断ち切る工夫をしましょう 。  
  • 代替活動の準備: どうしてもスマホが気になる時のために、読書、散歩、日記を書く、体を動かす(運動はメンタル安定に効果的です。人と一緒に行うとさらに効果が高まります )など、別の選択肢を用意しておくと良いでしょう 。  
  • 完璧を求めない: デジタルデトックスを習慣化するには、完璧を求めずに、できた日には自分を褒めることが大事です。まずは数時間から1日だけ試してみて、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていきましょう 。  

6. 親子のコミュニケーションを深めるSNS活用法

SNSは親子の信頼関係を壊すリスクもありますが 、使い方次第でコミュニケーションを深めるツールにもなり得ます。  

対策:

  • 共通の話題として活用: 子どもが興味を持つSNSや流行りのゲームがあるなら、親も一度子どもと一緒に体験してみると良いでしょう。子どもの夢中になる理由や面白さの秘密が分かり、関わり方が変わってきます 。  
  • オープンな対話の場に: SNSで見た情報について、親子で「これってどう思う?」と話し合う機会を作りましょう。情報の真偽を共に考える練習にもなります。
  • 親の正直な気持ちを伝える: 「ママもたまには疲れるよ。そんなママでも仕方ないよね」「助けて!」というように、親が自分の素直な気持ちを子どもに伝えることで、子どもも安心して自分の気持ちを話せるようになるでしょう 。  
  • 子どもの頑張りを肯定的に捉える: 受験の結果だけでなく、そこに至るまでの努力を認め、「ここまで頑張ってこられたことだけでもお父さん・お母さんは十分にうれしい。君のことを誇りに思う」と伝えることが、子どもの心の安定につながります 。  

7. 困ったときの相談先と心のケア

中学受験は親も子もストレスを抱えやすい時期です。特に母親がノイローゼになると、家庭内のコミュニケーションが減少し、夫婦間の信頼や協力が失われていくなど、家庭全体に悪影響が出る傾向があります 。  

対策:

  • 専門家への相談: 塾のコーチングはもちろんのこと、各自治体の子ども家庭支援センター(自治体によって名称は異なります)、都道府県警察の少年相談窓口など、困ったときに相談できる公的な窓口も活用しましょう 。  
  • 親自身のセルフケア: ストレスや不安をゼロにすることはできません。心を安定させるセルフケアを身に付け、適宜心を休ませることが重要です。気持ちを紙に書き出す、深呼吸をする、リラックス法を取り入れる、そして母親自身の息抜きの時間を作ることを意識しましょう 。趣味の時間を持ったり、友達とおしゃべりをしたり、好きな本を読んだりするなど、自分が楽しめる時間を意識的に作り、ストレスを軽減することが大切です。  
  • 夫婦間の協力: 夫婦で受験に対する考え方を共有し、協力体制を築くことが不可欠です。夫婦関係の不安定さは、子どもの大きな心理的ストレスとなるため、注意が必要です 。  
  • 「バランス」の意識: 受験本番は頭を使いますから、リラックスが必要です。普段から「物事はバランスだ」と意識してリラックスできるようにしておく必要があります。つらいのに我慢し続けて勉強させるのは良くありません 。  

おわりに:親も子も笑顔で中学受験を乗り越えるために

中学受験は、お子さんの成長を促す貴重な機会であると同時に、親御さんにとっても多くの学びと葛藤をもたらす期間です。SNSは、その期間を豊かにする「光」にも、心を蝕む「闇」にもなり得ます。

大切なのは、SNSの特性を理解し、賢く、意識的に利用すること。そして何よりも、お子さんの成長と、ご自身の心の健康を第一に考えることです。

このブログ記事が、中学受験を控える親御さんのSNSとの付き合い方を見直し、親も子も笑顔でこの大きな挑戦を乗り越えるための一助となれば幸いです。応援しています!

今日も、一歩前へ。

では、また。


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